はじめての公式記録・6人制
バレーボールのIFの付け方
得点とサービス順を、ひとつずつ。試合前から終了後までの基本を図で確認します。
最初に覚えること
IFは、試合の進行を残す公式記録です。
得点だけでなく、誰がどの順番でサーブを打つか、いつ選手が交代したかも記録します。得点板を写すだけの仕事ではありません。
分からなくなったら、推測で埋めずに副審へ。初めて担当するときは、経験者と練習してから記録席につきましょう。
この記事の対象:中学生以上が担当する、一般の6人制・紙の公式記録の入門です。9人制、小学生の特別ルール、電子記録の操作にはそのまま当てはめません。図は独自の練習用模式図で、提出用紙ではありません。実際には大会指定の用紙・最新の記入法・審判講習の指示を優先してください。
1. 試合前は「用紙・チーム・順番」を確認
用紙を受け取ったら、いきなり選手番号を書き始めず、どの試合を記録するのか確認します。JVAは6人制の3セット用・5セット用などを分けて公開しています。大会から配布された用紙がある場合は、そちらを使います。
- 試合を特定する。大会名、会場、日付、試合番号、対戦チーム、設定時刻を確認します。設定時刻と実際の開始時刻は別です。
- 名簿と照合する。選手番号・氏名、キャプテン、リベロなどを、提出された構成メンバー表と照らし合わせます。必要な試合前の確認・署名も忘れずに。
- A・BとS・Rを確認する。A・Bはチームの識別、Sは先にサーブ、Rは先にレシーブする側です。「自分の学校だからA」と決めません。トスの結果と副審の確認に合わせます。
- ラインアップを転記する。サービス順Ⅰ〜Ⅵの欄へ、提出された先発選手の番号を写します。背番号の小さい順には並べません。
Ⅰ〜Ⅵは、背番号ではない
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵは「1・2・3・4・5・6」を表すローマ数字です。たとえばⅠの欄に7とあれば、その欄の選手は背番号7番。先発の番号を写したら、元のラインアップと指で追って確認しましょう。
ここが間違えやすい:セット途中でサーブが移っても、セット開始時のS・Rを書き換えるわけではありません。また、コートが入れ替わった後もA・Bのチーム名を取り違えないよう、次セットの記入欄を確認します。
2. 得点とサービスは、別の欄に残す
ラリーは、サーブからプレーが終わるまでのひと続きです。ラリーの結果が確定したら得点を記録し、次にサーブする選手を確認します。まずは次の2つを分けて覚えてください。
- 得点欄:得点したチームの次の数字に斜線を入れ、セットの得点を積み重ねます。
- サービスのチェック欄:サーバーと巡りを確認して開始をチェックし、そのサーブの順番が終わったら、その時点のそのチームの合計得点を書きます。サーブで取った本数でも、選手個人の得点でもありません。
セット開始時、最初にレシーブするチームはⅠの最初のサービス機会を使いません。その欄を規定の方法で処理し、最初にサーブ権を得たときはⅡへ進みます。開始チェックを入れる位置やタイミングは、使用する記入法で練習してください。
用紙を手元に置いて、3ラリーを追ってみよう
大会指定の用紙、または上のJVA配布ページから入手した練習用紙を用意します。「得点」「サービスのチェック」「選手交代」「タイムアウト」の欄を探しましょう。
以下は欄の役割を取り出した独自の部分図で、公式用紙の配置・全記号を再現したものではありません。青色と「今回」の説明が書き足す部分です。実際には大会指定の筆記方法に従ってください。
架空の第1セットです。Aが先にサーブ。AのⅠは7番、BのⅡは4番とします。ここでのスコア表記はすべてA:Bです。
A:Ⅰの先発7番・S(先にサーブ)
B:Ⅱの先発4番・R(先にレシーブ)
今回:Aの7番が最初のサーブを打ったら、AのⅠ・1巡目の開始をチェック。終了得点はまだ空欄です。BのⅠ・最初の機会は、先にレシーブする側の指定処理を済ませておきます。
- 01
Aが得点 → 1:0
Aの得点欄の「1」に斜線。次もAの7番がサーブします。ラリーのたびに別のサービス欄へ進むわけではありません。
部分図 1:今回の記入箇所 A 得点123B 得点123A・Ⅰ・7番
1巡目の終了得点空欄今回:Aの1点目に斜線。終了得点はまだ書きません。
- 02
Aがもう1点 → 2:0
Aの得点欄の「2」に斜線。まだAの7番のサーブが続きます。
部分図 2:今回の記入箇所 A 得点123B 得点123A・Ⅰ・7番
1巡目の終了得点空欄今回:Aの2点目に斜線。終了得点はまだ書きません。
- 03
Bが得点 → 2:1
Bの得点欄の「1」に斜線。Aの7番のサーブが終わるので、Aの該当サービス欄へ「2」を記入。次はBのⅡ、4番のサーブです。
部分図 3:今回の記入箇所 A 得点123B 得点123A・Ⅰ・7番
1巡目の終了得点2今回:Bの1点目に斜線、Aのサービス欄に2。Bの開始チェックは、次に4番がサーブを打つときです。
この先、Bが1点も追加できずAが得点したなら、Bの該当サービス欄に書く数字は「0」ではなく「1」です。Bにはサーブ権を得たときの1点がすでにあるからです。
得点・サービス欄の基本は、FIVBの公式記録記入説明(PDF・旧版)でも確認できます。国内の用紙、現行の細則や大会特則はJVA・主催者の資料で確認してください。
3. 選手交代とタイムアウトは「その時の得点」も
選手交代:誰が、誰と、いつ交代した?
副審と連携し、出る選手と入る選手の番号、交代時の両チームの得点を確認して、該当するサービス順の交代欄に記録します。先発番号を消して、新しい番号だけに書き換える方法ではありません。元の選手が戻る場合も、同じ組の記録を追います。
同じ第1セットが進み、Aが8点、Bが10点になったとします(途中のラリーは省略)。このときAの7番に代わって控えの12番が入ります。
- 先発番号は消さない
- 7
- 今回:交代で入る選手
- 12
- 今回:交代時の得点
- 8:10
交代するAの得点が先です。先発7番に対応する交代選手欄・得点欄へ記入し、サービス終了得点欄には書きません。戻る交代の囲みや記号は、指定の記入法で確認してください。
タイムアウト:取ったチームを先に書く
タイムアウトを取った側の欄に、そのチームの得点を先、相手の得点を後に書きます。普段見ている得点板の左右と同じとは限りません。
この例では、8:10のままBが最初のタイムアウトを取ったとします。Bのタイムアウト1回目の欄に「10:8」と書きます。下は書く順番の比較です。A側は「もしAが取った場合」で、両方の欄に記入するわけではありません。
Aが取った場合
8:10Aの欄に、Aの8点を先に。
Bが取った場合
10:8Bの欄に、Bの10点を先に。
リベロの入れ替えは通常の選手交代と別の扱いです。通常の交代欄へすべて同じように記入せず、リベロコントロールの担当者と使用するシート・手順を確認しましょう。交代回数などを別カテゴリーのルールから覚え込まないことも大切です。
4. セット終了と試合終了を分けて確認
セットが終わったら
終了時刻、両チームの最終得点、最後のサービス欄、未使用部分の処理を確認します。最終得点を囲む場所などの仕上げは、指定された記入例と照合してください。次のセットがある場合は、新たに提出されたラインアップを使います。前のセットの先発をそのまま写しません。
最終セットは、始まる前に相談
最終セットには、途中のコートチェンジに対応する欄があります。左右の欄のつなぎ方や得点の転記を初めて本番で考えると、追いつけなくなります。何点でコートチェンジするか、どの欄を使うかを、大会のセット方式に合わせて副審と事前確認してください。
試合が終わったら
- 結果欄の各セット得点・勝敗、交代数・タイムアウト数を照合する。
- セット時間、試合の開始・終了時刻、所要時間を確認する。所要時間とセット時間の合計は同じとは限らない。
- 勝利チームと獲得セット数、必要な特記事項を確認する。
- 所定の署名と審判の確認を受け、主催者の手順で提出する。
5. 間違えたときは、書き直す前に伝える
得点が合わない、サーバーが分からない、交代番号を見失った。そんなときは、記憶で埋めずに副審へ具体的に伝えます。「第1セット、Aが8点・Bが10点の交代番号を確認したいです」のように、セット・得点・確認したい欄を示すと状況を共有しやすくなります。
サービス順の誤りや罰則の扱いを自己判断で処理しないでください。訂正線や特記事項への記入方法も、その場の指示を確認します。得点板だけに合わせて数字を変えると、元の経過が分からなくなります。
6. 試合前にできる、短い練習
練習用紙と筆記具を用意し、1人が架空のラリー結果を読み、もう1人が記録します。最初は各ラリーで止めて構いません。「今の得点」「次のサーバー」「書く欄」を声に出して確認しましょう。
Aが3点、Bが5点。BのサーブからAが得点しました。Bのサービス欄に書く数字は?
答えは「5」です。新しいスコアはA 4:B 5ですが、Bのサービス終了時の合計得点は5。Aの得点欄には4点目を記録します。
Aが12点、Bが9点で、Bがタイムアウト。Bの欄にはどう書く?
「9:12」です。タイムアウトを取ったBの得点が先です。A:Bの固定順ではない点を確認しましょう。
ここまでできたら、選手交代を1回加えて練習します。最後は経験者に用紙を見てもらい、「数字が合っているか」だけでなく「正しい場所・記号で残せたか」も確認してください。
使用前に確認する資料
- JVA 公式記録用紙:2026年版の6人制3セット用・5セット用、ラインアップ、リベロコントロールシートなど。
- 滋賀県高体連「IF用紙の書き方」:国内の記入例を確認する入口。
- JVA 審判講習会・研修会:講習に関する情報。参加先は所属地域の協会にも確認。
本記事はVollyzeによる学習用の解説で、JVAの公式教材や公認審判による監修記事ではありません。2026年9月6日に公開資料を確認しました。古い資料の得点制・罰則・交代条件を現在の大会へそのまま適用しないでください。
公式記録と、チームの分析は別の仕事
IFは大会の試合経過を正しく残す記録です。一方、「失点が続いたのはどの場面か」「次の練習を何にするか」はチームの分析です。公式記録を担当しながら、別の分析作業も無理に抱える必要はありません。
Vollyzeは後者を支えるiPhone・iPadアプリです。公式記録用紙の代わりにはなりません。まずIFの役割を果たし、チームの分析は別担当や試合後の振り返りで行いましょう。